SEO業者など外部に記事制作を依頼していた企業が、AIで内製化するケースも増えてきたと実感しています。
AI生成の質も飛躍的に向上しており「AI生成のまま、人間が編集しなくても成果を出せるのではないか?」と考える方も多いのではないでしょうか。
今回、海外でSEOツールを提供するSE Rankingが、自社のAI Writerの機能を用いて行った実験「How AI-generated content performs in search: Results from an experiment by SE Ranking(AI生成コンテンツの検索でのパフォーマンス:SE Rankingによる実験結果)」のデータを紹介します。
「AI記事+人間の編集・ファクトチェックあり」と「編集・ファクトチェックなし」それぞれの成果を測定した、興味深い内容です。
なお、編集なしのAI記事量産の検証は新規ドメインで行われたものであり、既存ドメインで量産した場合のデータではない点にご注意ください。
SE Rankingは、下記の2つの条件で実験を実施しました。
■AI記事+人間の編集・ファクトチェックあり
- 掲載先…権威性・被リンク・運用実績のある自社ブログ(既存ドメイン)
- 生成方法…細かく指示。検索意図、ターゲット読者、フォーマット、トーンなどに加え、カバーすべき要点や関連キーワード・答えるべき質問、H1、見出し構成まで指定。生成前に人間がトピックを調べて概要を設計。
- 生成後…編集チームが明確さ・正確さの観点で全記事を改稿し、一部はSEOチームがファクトチェック。一部はゼロから書き直しもあり。ただし校正はなし
- 公開数…自社ブログに6記事
- その他…AIを利用している旨の免責事項を明記して公開
■編集・ファクトチェックなし
- 掲載先…検索履歴・被リンク・評判ゼロの新規に購入したドメイン20個
- 生成方法…ワンクリックでの生成のみ。追加プロンプト・指示・編集は一切なし。タイトルとメタディスクリプションもAI生成
- 生成後…生成物をそのまま一括アップロード(WordPress API経由)。人間の目は通していない。
- サイト環境…全サイト同じ無料WordPressテーマ+Yoast SEOのみ。内部リンクなし、画像なし、被リンク施策なし、SNS宣伝なし、公開後の更新もなし。サイトマップ送信だけ実施。
- 公開数…20サイトに各100本、計2,000記事(2024年11月に一括公開)
- キーワード…各ニッチ100個の低〜中ボリュームのHow toクエリ(「〇〇のやり方」を調べる情報収集型クエリ)で対策(月間検索数:10〜990、平均106)
両者の結果は、次のようになりました。
■AI記事+人間の編集・ファクトチェックあり→成功し、伸び続けた
- 13か月(2024年6月〜2025年7月)で、55.5万インプレッション・2,300クリック超
- 6本中3本がトップ10入り(1位・3位・7位)。うちDashboards vs Reportsの記事は1位を維持、SEO Taxonomyの記事も一時1位を記録
- 6本中5本のキーワードでAI Overviewsが表示され、うち4本の記事がソースとして引用
- 公開1年後の累計は、前半6か月時点の約4倍のインプレッション・約2.5倍のクリックに達した
■編集・ファクトチェックなし→ 初期だけ伸びて崩壊、回復せず
- 最初の36日→インデックス率70.95%、12.2万インプレッション・244クリック。8サイトが1,000超のキーワードでランクイン
- 2〜3か月目→インプレッション52.6万超、クリック782と加速
- 3か月目(2025年2月頃)に急落し、100位圏内の表示ページの割合が28%→3%まで崩壊
- 6か月時点の累計は70.6万インプレッション・1,062クリックだが、累計の70〜75%が最初の2.5か月に集中していた
- 16か月後→累計109.2万インプレッション・1,381クリック。約67%はインデックスに残っているが、実質的に誰にも見つからない位置。2025年8月のスパムアップデート時に半数のサイトで一瞬インプレッションが戻ったが、ピーク水準に復帰したサイトはゼロ
要するに、「AI記事+人間の編集・ファクトチェックあり」は、初動の伸びこそ遅かったものの、時間が経過するごとに評価され、伸び続けた傾向が見られました。
一方で、「編集・ファクトチェックなし」の場合、成果が出るのが早く、初動で伸びたものの、3か月で急落し、二度と戻りませんでした。
クリックの効率で見てみても、「AI記事+人間の編集・ファクトチェックあり」は6記事で2,300クリック(1記事あたり約380クリック)の一方、編集・ファクトチェックなしは2,000記事で1,381クリック(1記事あたり0.7クリック)で、記事単位の生産性では500倍以上の差がついています。
前提として、運用歴のある自社ドメインと新規ドメインで比較しているので、ドメインパワーが全く異なる点には留意が必要です。また、内部リンクの設計やキーワードの性質(後者は機械的に抽出した低ボリュームのKW)、公開頻度(後者は同時期に100本ずつ一括公開したので不自然に捉えられた可能性あり)の点でも条件が異なります。
そのため、仮に自社ドメインでAI生成のみの記事を出しても、一定の成果が出る可能性も否めません。
一方で、無編集・量産型のAIコンテンツは、新規ドメインでは3か月で崩壊するということは言えそうです。
個人的には、コンテンツの戦略や構成の方向性、記事のトンマナなどはプロンプトで細かく指定し、構成や原稿の出力はAIに任せるのがベストのやり方かと考えています。
また、出力されたものをそのまま使うのではなく「構成は、読者の検索意図を解決するような最適な流れになっているか?」「原稿にオリジナリティのある内容(体験談や調査結果など)を入れられる箇所はないか?」などの観点で、人間の手によるチェックを入れ、プロンプトで修正を加えていくのがよいかと思います。
今回は新規ドメインでの話でしたが、自社サイトにおいても、コンテンツ制作のすべてをAI生成に任せるのはよくありません。実際、私自身も業務の中で、AI生成コンテンツは初動こそ検索上位につけるものの、のちにTOP10圏外へ落ち、順位を戻していないケースを確認しています。
SE Rankingの実験は、あらためて、人の手のチェックを入れることの重要性を示す結果となったのではないでしょうか。
※参照:How AI-generated content performs in search: Results from an experiment by SE Ranking(SE Ranking公式ブログ)